パキスタンのICT(情報通信技術)について関心のある日本企業の方はこちら

令和3年2月16日
パキスタンのICT(情報通信技術)について関心のある日本企業の方はこちら
 
 
パキスタンは、総人口約2.2億人(2019年UNFPA世界人口白書)のうち、およそ約64%が30歳以下の若年層であり、豊富な労働力が魅力です。
パキスタン政府も、この豊富な若い労働力を背景に、ICTに力を入れており、これを受け、在パキスタン日本国大使館では、パキスタンのICTに関心をお持ちの日本企業の皆さまを対象とした情報提供・相談窓口を設置しています。
 
1 情報提供・相談窓口
電話:+92-(0)51-907-2217又は2295(日本語)                          
ファクシミリ:+92-(0)51-907-2355
電子メール:ict-soudan@ib.mofa.go.jp
(電子メールでお問い合わせいただく際には、本文に、御社名、ご担当者名及び連絡先(メールアドレス)の記載をお願いします。)
 
2 情報提供・相談窓口の業務内容
  • パキスタンのICTの状況に関する一般的な情報を提供します(このページの下にある「よくある質問と答え」も参考にして下さい。)。
  • パキスタンの中央・地方政府機関、公的団体及び教育機関並びに各種商工会などの業界団体を紹介します。
 
3 よくある質問と答え
問1 パキスタンのICT技術者の規模や程度はどのくらいですか。
答1 パキスタンでは、毎年3万人のICT新卒技術者が誕生しており、おおむね、日本の新卒者と同等の知識技能を有していると思われます。なお、パキスタンでは、日本の情報処理技術者資格のようなITスキルを客観的に証明できる公的資格は存在せず、例えば、MCP、CCNA等のベンダー資格が評価指標の1つとなっています。
また、パキスタン国内にあるICT企業、コールセンター等は、約3,000社程度存在しています。
 
問2 日本におけるパキスタン人ICT技術者の就労実績はどのくらいありますか。
答2 パキスタンの公用語は英語(国語はウルドゥ―語)であるため、英語を話すICT技術者50万人以上存在しています。そのため、多くのパキスタン人ICT技術者の主要取引先は、主に英語圏となっており、日本におけるパキスタン人ICT技術者の就労実績はそれほど多くありません。
 
問3 パキスタンでICT技術者を輩出している大学はどの位ありますか。
答3 パキスタン高等教育委員会(HEC)が2015年に発表した大学ランキングはこちら(当館で仮訳、補足)。
 
2015年パキスタン大学ランキング(技術系)
順位 大学名(所在地) 評点 IT関係学部
の有無
1
 
国立 National University of Science & Technology (NUST),Islamabad 100.00
 
2
 
公立 Pakistan Institute of Engineering and Applied Sciences(PIEAS), Islamabad 96.67
 
3
 
私立 Ghulam Ishaq Khan Institute of Engineering Sciences & Technology, Topi, Khyber Pakhtunkhwa 75.34
 
4 国立 Institute of Space Technology, Islamabad 72.46
5 公立 University of Engineering & Technology, Lahore, Punjab 63.97
6 公立 Mehran University of Eng. & Technology, Jamshoro, Sindh 58.88
7 公立 University of Engineering. & Technology, Peshawar, Khyber Pakhtunkhwa 57.74
8 国立 Air University, Islamabad 57.22
9 公立 University of Engineering and Technology Taxila, Punjab 55.32
10 公立 National Textile University, Faisalabad, Punjab 51.09
 
https://www.hec.gov.pk/english/universities/Documents/Ranking_Doc%20(2015).pdf
 
評価基準(計100点満点)
  • 品質(15点満点):博士課程認定及び教員の採用基準、内部統制、学生による国際的な受賞歴の数、国際的な認定、国際的な大学ランキング等
  • 教育の質(30点満点):学生・教員の比率、就職率、教員による国際的な受賞歴の数等
  • 研究の質(41点満点):国内および国際特許数、登録品種、技術・品種登録数、博士課程得在籍者数及び修了者数、研究助成金の金額、論文掲載数、インターネット回線の帯域数、国際会議・シンポジウムの開催・参加数等
  • 財政・施設の質(10点満点):総予算における非人件費の比率、研究費及び図書館費の額、コンピューターの数、学生が受けた外部奨学金の数等。
  • コミュニティの質(4点満点):国際的な学生交換プログラムの数、留学生と外国人教員の数等。
 
問4 パキスタンでICT関連の現地法人を設立したいと思いますが、何か優遇措置はありますか。
答4 パキスタン政府は、2020年12月に、パキスタンのICT産業の振興のため、ICT企業に様々な優遇面を与えることを目的に、イスラマバード首都圏、ラホール市(パンジャブ州)、ハリプール郡(ハイバル・パフトゥンハー州)、カラチ市(シンド州)及びクエッタ市(バロチスタン州)に技術特区(STZ:
Special Technology Zone)を設置しました。STZは、技術特区庁(STZA: Special Technology Zone Authority)が所管します。
これら特区では、ICT分野の研究施設、生活インフラ(住宅、ホテル、銀行等)が整備される予定です。また、外国企業等にも、以下のインセンティブが提供されることになっています。
ア 所得税、固定資産税の10年間免除
イ パキスタンに輸入されたICT関連資機材に対する関税等の免除
ウ STZ内で消費する物品、サービスに対する消費税の免除
エ ベンチャー企業への投資によって得られた配当所得及び長期キャピタル・ゲインに対する課税の10年間免除
オ 高品質の電力、インターネット回線及びその他最新の産業インフラの提供の保証
 
問5 パキスタンにおける、ICT分野に関係する団体は、どのようなものがありますか。
答5 ICT分野を所管する省庁として、「IT・通信省(Ministry of Information Technology and Telecommunication)」が設置されています。
また、その傘下に、パキスタンのICT企業が加盟する公的団体「パキスタンソフトウェア輸出協会(PSEB:Pakistan Software Export Board)」があります。
そのほか、大きな業界団体として、パキスタンにおけるソフトウェア技術の振興を目的とした「パキスタンソフトウェア協会(P@SHA: Pakistan Software Houses Association for IT and ITES)」、スタートアップ企業を支援する「Ignite(Ignite National Technology Fund)」等があります。STZは、技術特区庁(STZA: Special Technology Zone Authority)が所管しています。
 
IT・通信省(MoITT):https://moitt.gov.pk/
パキスタンソフトウェア輸出協会(PSEB):https://www.pseb.org.pk/
パキスタンソフトウェア協会(P@SHA):https://www.pasha.org.pk/
Ignite:https://ignite.org.pk/
技術特区庁(STZA):http://www.stza.gov.pk/
 
問6 パキスタンのIT産業に関する公式統計などはありますか。
答6 残念ながら、横断的に網羅した公式統計はありません。以下は、当館が関係機関から聞き取ったパキスタンのIT産業に関する統計です(2021年3月現在)。
                                                                                        
1 IT企業数:約2,950社
2 ITエンジニアの数:約500,000人
3 毎年輩出される新規人材(新卒者等):30,000人 /年
4 輸出額:8億2,161万ドル(2020年7月-2020年12月。2021年6月までに18億ドル程度まで成長すると予想)
5 成長率41.26%(取引額ベース)
6 主要な貿易相手国(取引額ベース):
第1位 米国(55.3%)
第2位 英国(8.3%)
第3位 アラブ首長国連邦(UAE)(6.13%)
第4位 ノルウェー(2.61%)
第5位 シンガポール(2.5%)
第6位 カナダ(2.17%)
第7位 マレーシア(2.08%)
第8位 中国(1.84%)
第9位 アイルランド(1.73%)
第10位 ドイツ(1.71%)
 
(出典:パキスタン中央銀行(SBP)のデータを元にPSEBが作成)